雪が降る夜、子狐の小さな冒険が始まります。
母の深い愛、見知らぬ人とのふれあい、そして心に残るあたたかさ――。
新美南吉の名作『手袋を買いに』は、読む人の心にそっと寄り添う物語です。
この記事では、朗読とともにあらすじや考察をじっくりご紹介。
静かな感動を、あなたの耳と心で味わってください。
\耳から作品を楽しみたい方は、全編を以下YouTubeで朗読しております/
- 『手袋を買いに』の物語概要とあらすじ
- 『手袋を買いに』のメッセージや考察
- 『新美南吉』について
『手袋を買いに』のあらすじと登場人物について

あらすじ
※ネタバレを避けたい方はスキップしましょう!
冷たい冬の朝、狐の親子が住む森にも雪が積もりました。
外の世界をまだ知らない子狐は、真っ白に輝く雪の眩しさに驚き、「目に何か刺さった」と母のもとへ飛び込みます。
雪や寒さに戸惑いながらも、雪の上で無邪気に遊ぶ子狐。けれど、冷たい雪に触れて「お手々がちんちんする」と泣き出してしまいます。
そんな子を見て、母狐は思います。「この子に暖かい手袋を買ってあげたい」と――。
でも、母狐には人間の町は怖い場所。昔、仲間と町に出て痛い目にあった記憶があるのです。
そこで母は、魔法のように子狐の手を“人間の子どもの手”に変えて、子狐一人で町へ向かわせることにします。
「絶対に狐の手を出してはいけないよ。人間に正体がばれたら、大変なことになるからね」と、母は何度も優しく、でも真剣に言い聞かせます。そして、小さなその手に、手袋代のお金をそっと握らせます。
夜の雪野原を一歩一歩進む子狐。やっと見つけた帽子屋の戸を、勇気を出してトントン。
けれど緊張から、うっかり出してはいけない“狐の手”を差し出してしまいます。
ところが帽子屋はその手を見て驚きながらも、差し出されたお金が本物と分かると、優しく手袋を渡してくれるのでした。
帰り道、子狐は人間のお母さんの子守歌を聞き、思います。
「人間のお母さんも、自分の母さんと同じようにやさしいんだな」。
そして、無事に森へ帰ると、母狐は息子を温かく抱きしめ、涙が出るほど安心します。
「母ちゃん、人間ってちっともこわくないや」
「ほんとうに人間は、いいものかしらね…」
真っ白な雪と静かな月の光に包まれて、狐の親子は寄り添って森へ帰っていきました。
主な登場人物
- 子狐
雪や人間の世界を初めて体験する好奇心旺盛で純真な性格の子どもの狐。 - 母さん狐
子狐を深く思いやる優しく賢い母親で、過去の経験から人間を警戒している。 - 帽子屋さん
子狐に手袋を売った人間で、最初は驚くが子狐の純粋さを受け入れ優しく対応する。
『手袋を買いに』の重要シーンまとめ

この章では「手袋を買いに」のキーとなるシーンをまとめています。
雪を初めて見た子狐が眩しさに目を刺されたと勘違いし、自然の厳しさと初々しさが描かれる場面。
子狐の手が冷たくなったのを見て、母狐が夜に手袋を買いに行く決意をする母の深い愛情が感じられる場面。
母狐が子狐の手を人間の手に変え、町へ行かせる準備をする親子の信頼と優しさが溢れるシーン。
子狐が町で帽子屋に手袋を買いに行き、間違えて狐の手を出してしまうが受け入れてもらえる心温まる瞬間。
子狐が帰り道に人間の母子の会話と子守歌を聞き、母の愛は人間も狐も同じだと感じる印象的な場面。
無事に帰ってきた子狐を母狐が抱きしめ、安堵と喜びに包まれる感動的なラストシーン。

どのシーンにも親子の絆と優しさが詰まっていて、心がぽかぽかしますね(^^)
『手袋を買いに』の考察や気づき


「新美南吉」が『手袋を買いに』を通して伝えたかったメッセージを、以下のように考察しました。
- 親子の深い愛情
『手袋を買いに』の物語の根底には、母親の子供に対する深くてあたたかい愛情が流れています。
子狐が雪の冷たさに泣くと、母狐はすぐにその手を温め、しもやけを心配します。
その小さな痛みすら見逃さず、夜の町へ手袋を買いに行こうとする母の決意は、親としての無償の愛情を象徴しています。
さらに、自分の命を危険にさらした経験があるにもかかわらず、子のために人間社会に手を伸ばすその姿には、「守りたい」という一心と、「信じたい」という願いがにじんでいます。 - 人間の中にもある優しさ
狐の親子は、人間を「恐ろしい存在」として語りますが、実際に子狐が出会った帽子屋は、狐の手を見ても差別せず、きちんと手袋を渡してくれました。
このエピソードは、人間の中にも確かに「思いやり」や「分け隔てのない心」が存在することを表しています。
狐という存在を超えて、「目の前の相手」を信じて接するその態度は、人と人との関係にも通じるものがあります。そしてその優しさは、子狐だけでなく母狐の心にも小さな希望の光を灯すのです。 - 他者への理解と共感
物語の終盤、子狐は帰り道に人間の母と子の会話と子守歌を耳にします。
その温かな声に、自分の母と重なる何かを感じ、「人間の母も、狐の母と同じなんだ」と気づく瞬間はとても印象的です。
これは、見た目や種族が違っても、根本の愛情や思いやりは共通しているというメッセージです。
「自分たちと違う存在=怖いもの」という思い込みが、経験を通して解けていく姿には、他者への理解や共感が生まれる瞬間の尊さが描かれています。



この物語は、やさしさや愛情が種族の違いを越えて伝わることを、静かに、でも力強く教えてくれますね。
新美南吉について
新美南吉(にいみ なんきち)
1913年(大正2年)に愛知県で生まれ、わずか29歳という若さでこの世を去った児童文学作家です。
本名は新美正八(にいみ しょうはち)。短い生涯の中で多くの美しく、そしてどこか寂しさを帯びた物語を残しました。
代表作には『ごんぎつね』『おじいさんのランプ』などがあり、どれも「人と人の心のすれ違い」や「命の温もり」をテーマにしています。
『手袋を買いに』と新美南吉の心
『手袋を買いに』は、そんな南吉のやさしい眼差しがよく表れている作品です。
この物語には、「親の深い愛情」や「異なる存在を恐れず受け入れる心」といった、どの時代でも大切にしたいテーマが込められています。
南吉自身、幼くして実母を亡くし、義母や祖母に育てられた経験があり、「親子の情」「やさしさに飢えた心」に対する感受性がとても強かったとされています。
そのせいか、彼の描く親子関係はどれも深い愛に満ち、切なくも温かい余韻を残します。
作品に流れる“さびしさ”と“希望”
南吉の物語には、どこか静かな寂しさが漂います。
『手袋を買いに』も、雪の夜、母に代わってひとりで町に向かう子狐の姿には、読者もハラハラしつつ、愛おしさを感じずにはいられません。
しかしその先で出会う優しさ、交わされるぬくもりのあるやりとりは、小さな希望の灯火のよう。
新美南吉は、孤独や不安の中にある“人の優しさ”を丁寧に描いた作家だったのです。
『手袋を買いに』のあおなみのひとこと感想



雪の冷たさの中に浮かび上がる親子の愛情と、人間との小さな心のふれあいに心が温まりました。
子狐の無垢さ、母狐の優しさ、そして帽子屋の思いやりに触れ、「やさしさは境界を越える」ことを静かに教えてくれる物語だと感じました。
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