【朗読】ある宇宙塵の秘密/海野十三

あおなみ

こんにちは!
今回の作品は海野十三作の『ある宇宙塵の秘密』という作品です。

とある博士が地球を飛び出し、世の中の様や助手の心情が描かれたおります。

音声で楽しみたい方は以下、YouTubeからどうぞ♪

目次

著者紹介

海野十三(うんの じゅうざ)
1897年12月26日 – 1949年6月17日

日本のSF作家であり、戦前・戦後の日本におけるサイエンス・フィクション(SF)文学の先駆者の一人と言われている。

本名は佐野 昌一(さの しょういち)

経歴と作品

海野十三は兵庫県神戸市に生まれました。

東京帝国大学(現在の東京大学)で工学を学び、卒業後は新聞社で記者として働きました。

彼の工学的知識は後のSF作品に大いに影響を与えています。

1928年、彼は「火星兵団」でデビューし、以後数々のSF小説を発表しました。

彼の作品は科学技術の進歩とそれによる社会の変化をテーマにすることが多く、ロボット、宇宙旅行、未来都市などが題材として頻繁に登場します。

主要作品

  • 『火星兵団』(1928年): 火星人が地球を侵略するというストーリーで、彼のデビュー作です。
  • 『地球盗難』(1930年): 地球が何者かに盗まれ、それを取り戻すための冒険を描いた作品。
  • 『光の塔』(1931年): 高層ビルに潜む謎を探る物語。
  • 『海底都市』(1933年): 海底に建設された都市を舞台にした作品。

評価と影響

海野十三は、その斬新なアイデアと科学技術への深い洞察から、多くの読者や後の作家に影響を与えました。

特に彼の作品は、戦前・戦後の日本における科学技術の進展と、それに伴う社会の変化を先取りするものでした。

彼の作品はまた、当時の社会情勢や技術の発展に対する批評的な視点を持っており、そのためにSF文学だけでなく、広く文学界においても評価されています。

最期と遺産

海野十三は1949年に亡くなりましたが、彼の作品は現在も多くの読者に親しまれています。

また、彼の名前を冠した「海野十三賞」が設けられ、日本のSF文学の発展に貢献しています。

あらすじ

主人公であるテレビジョン研究者が、恩師の渋谷博士の奇怪な最期を回想する物語です。

物語は、主人公が深夜の研究室を出て帰宅する途中、渋谷博士の昇天を思い出す場面から始まります。

渋谷博士は優秀な航空テレビジョン機を発明し、その性能を試すためにドイツから送られてきたロケット「赤鬼号」を使って宇宙探検を計画していました。

しかし、クリスマスの夜、突如として「赤鬼号」が研究所の屋上から飛び立ち、渋谷博士はその中に乗っていたのです。

翌朝、主人公が研究室に行くと、博士からの指示が黒板に残されており、第二号のテレビジョン機を使って受影を始めるように命じられていました。

受影を開始した主人公は、スクリーンに現れた渋谷博士の姿に驚きます。

博士は「赤鬼号」に乗っており、火星に向かって飛行していることを伝えます。

博士はこの機会を逃さず、火星探検の様子を世界にテレビジョン放送するよう指示しました。

世界中の人々はこの放送に注目し、博士の冒険を見守ります。

しかし、途中で「赤鬼号」が宇宙空間で停止してしまいます。

オランダのサール博士が、ロケットが万有引力の中点に到達し、停止したと解明しました。

渋谷博士は、最終的に自らの命を犠牲にしてロケットを再び動かし、火星に向かわせることを決意します。

ロケットは再び動き出し、火星の映像が送られ始めますが、博士の姿はスクリーンに現れませんでした。

最終的に、火星到達直前で映像が途絶え、「赤鬼号」は行方不明になります。

主人公は、博士が宇宙塵と化したことを知り、彼の犠牲と業績を胸に刻み、火星人との対決に備える決意を固めます。

博士の犠牲を無駄にしないため、さらに高度なテレビジョン機を完成させることを誓い、物語は幕を閉じます。

時代背景

「ある宇宙塵の秘密」が発表された時期は、日本国内外で大きな社会変動と技術革新が起きていました。

時代背景

  1. 大正デモクラシーと昭和初期(1920年代 – 1930年代)
  • 科学技術の進歩: 大正時代から昭和初期にかけて、日本は急速な工業化と科学技術の進歩を経験しました。
    無線通信、航空技術、そして電気工学などの分野で新しい発明が次々と生まれ、人々は未来への期待とともに科学技術に大きな関心を持つようになりました。
  • 社会の変化: この時期、日本社会は西洋文化の影響を強く受け、都市化が進みました。 一方で、経済不況や政治的不安定さも見られました。これらの変化は、科学技術の発展が社会に与える影響についての議論を活発にしました。

2.戦争と戦後復興(1930年代後半 – 1940年代)

  • 第二次世界大戦: 1930年代後半から1940年代にかけて、日本は戦時体制に入り、科学技術の多くが軍事目的で利用されるようになりました。 戦後の日本は、戦争の影響からの復興と新しい国家建設に向けて動き始めました。
  • 技術の民生化: 戦後、軍事技術が民間に転用され、テレビ、ラジオ、電化製品などの普及が進みました。 これにより、一般市民の生活にも科学技術の恩恵が直接的に及ぶようになりました。

「ある宇宙塵の秘密」の時代背景

「ある宇宙塵の秘密」は、こうした時代背景の中で執筆された作品です。

特に、以下の点が作品に反映されています。

  • 科学への期待と不安: 科学技術の急速な進歩は、人々に未来への期待と同時に不安をもたらしました。

この作品でも、未知の宇宙塵の研究を通じて科学の限界とその可能性を探る姿勢が描かれています。

  • 戦争の影響: 戦争による技術革新とその後の民間利用という流れは、海野十三の作品全般に見られるテーマです。

戦時中に培われた科学技術が平和利用される一方で、その潜在的な危険性についても言及されています。

  • 社会的変動: 都市化や社会の急速な変化が背景にあり、これが科学者たちの探求心や社会に対する視点にも影響を与えています。

まとめ

「ある宇宙塵の秘密」は、20世紀前半の日本の急速な技術進歩と社会変動の中で生まれた作品です。

科学技術への期待と不安、戦争の影響、そして社会的変動が作品のテーマやプロットに大きく影響を与えており、時代背景を理解することで、より深く作品を味わうことができます。

あおなみの一言所感

あおなみ

僕は元々SFものが好きなので、わくわくしながら読めました♪
作品の中で描かれているような、日がいつかこないかなと密かに期待してます(^^)

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