【朗読】奉行と人相学/菊池寛~あらすじ、重要シーン、考察まとめ~

江戸時代の名奉行・大岡越前守が挑む人相学の謎。

人間の本質を見抜くための試みと、法と慈悲の狭間で揺れる越前守の葛藤を描いた菊池寛の短編小説『奉行と人相学』。

外見に惑わされず人間の本質を見抜く重要性、改心と再生の可能性、そして現代にも通じる深い教訓をこの物語から学びましょう。

越前守と義賊・木鼠長吉との出会いから、あなたの心に残る名シーンの数々を通じて、読み手を引き込む物語の世界へご案内します。

\耳から作品を楽しみたい方は、全編を以下YouTubeで朗読しております/

この記事を読んでわかること
  • 『奉行と人相学』の物語概要とあらすじ
  • 『奉行と人相学』のメッセージや考察
  • 『菊池寛』について
目次

『奉行と人相学』のあらすじと登場人物について

あらすじ

※ネタバレを避けたい方はスキップしましょう!

大岡越前守は、江戸町奉行としての職務を通じて、人間の容貌と性格の関係に興味を持つようになります。そんな折、旗本の士であり、人相学を研究している山中左膳と知り合い、左膳から人相学の教授を受けることになります。越前は毎日の裁判で実例を通じて人相学の研究を深めていきます。

ある日、越前は盗賊の木鼠長吉を裁くことになります。長吉は盗賊ですが、義賊として貧しい者たちに施しをしていたという備考書に心を動かされ、越前は彼を軽い罪にすることを考えます。しかし、長吉の再犯が発覚し、今度は極刑を避けられない状況となります。長吉は人相学でいう隠徳の相を持っており、越前は彼をもう一度許し、真人間にしようと考えます。

最終的に、長吉は越前の領地である越前へ送られ、改心の機会を与えられます。越前は人相学の成果に喜びつつも、自分の判断が甘やかしではなかったかと自問します。

主な登場人物

  • 大岡越前守(おおおか えちぜんのかみ)
    江戸町奉行。人相学に興味を持ち、裁判に応用しようとする。公平で聡明な人物であり、罪人に対しても慈悲深く接する。
  • 山中左膳(やまなか さぜん)
    旗本の士で、大儒の室鳩巣の門下生。易学や人相学、手相学を研究しており、越前に人相学を教授する。
  • 木鼠長吉(きねずみ ちょうきち)
    盗賊。義賊として貧しい者に施しをしているが、再犯を繰り返す。隠徳の相を持っており、越前から改心の機会を与えられる。
  • 佐々(さっさ)
    与力。長吉の善行を認め、備考書に記載した。越前の調べに同情的であり、長吉を改心させようとする。

『奉行と人相学』の重要シーンまとめ

この章では「奉行と人相学」のキーとなるシーンをまとめています。

場面
大岡越前守が人相学に興味を持つ

江戸町奉行としての職務を通じて、人相と性格の関係に興味を持ち始める越前守。人相学を学びたいと思うようになる。

場面
山中左膳との出会いと人相学の教授

左膳との出会いを通じて、人相学を学び始める越前守。実際の召使いを使った臨床的な講義を受け、人相学の基本を習得する。

場面
木鼠長吉との対面

義賊として知られる盗賊、木鼠長吉の裁判で初めて対面するシーン。越前守は長吉の人相に隠徳の相を見出し、心を動かされる。

場面
長吉の釈放と再犯

越前守は長吉を軽い罪に処し、改心の機会を与える。しかし、長吉は再犯を犯し、再び捕らえられる。越前守の人相学の知識と慈悲が再び試される場面。

場面
将軍の裁可のミスと越前守の決断

長吉の死罪に対する将軍の裁可が朱筆のミスにより形式を満たさない事態が発生。越前守はこれを天意と捉え、再び長吉を許す決断をする。

場面
長吉の回想と越前守の説得

越前守が長吉に過去の善行を思い出させ、改心を促す。長吉は過去に行った善行を語り、越前守は彼に再び機会を与えることを決意する。

場面
越前への送致と改心の機会

最終的に越前守は長吉を越前の領地に送り、農村での生活を通じて改心する機会を与える。長吉が江戸を離れ、新たな生活を始めるための準備が描かれる。

おしまい
あおなみ

越前守の人間洞察と慈悲深い判断が物語の核心を成していますね!

『奉行と人相学』の考察や得た教訓

「菊池寛」が『奉行と人相学』を通して伝えたかったメッセージを、以下のように考察しました。

  • 人間の本質と見た目の関係
    作者は、人間の内面と外見の関係性に対する探求を通じて、見た目だけでは人の本質を見抜くことは難しいということを伝えたかったではないでしょうか。
    大岡越前守が人相学を学び、実際の裁判に応用しようとする過程で、見た目と性格の複雑な関係が浮かび上がります。
  • 自分の判断の限界を認識する
    自分の判断には限界があることを認識し、他人の意見を尊重したり、時には運命や天意に委ねる謙虚さを持つことが大切でなと感じました。
    物事を一人で決めず、周囲の助言や意見を参考にする姿勢を持っていきたいですね。
  • 善行を積み重ねる
    長吉のように、日々の小さな善行を積み重ねることが、他人に大きな影響を与えることがあります。日常生活の中でも声をかけたり、他人に優しく接することが大切だなと思いました。
あおなみ

この作品を通して、菊池寛は「人間の複雑さと、それに対する理解と慈悲の必要性」を強調したかったのかなと考察しました。

菊池寛について

菊池寛(きくち かん、1888年 – 1948年)は、日本の小説家、劇作家であり、出版人としても知られています。本名は菊池 寛治(きくち かんじ)で、香川県高松市出身です。東京帝国大学(現在の東京大学)を卒業後、文学の道を志し、様々な作品を発表しました。

代表作には、「真珠夫人」「恩讐の彼方に」「父帰る」などがあり、彼の作品は人間の心理や倫理的葛藤を描くものが多いです。菊池寛は、特に人間の内面的な弱さや強さ、善悪の境界を描くことに長けていました。

菊池寛は、1923年に文藝春秋社を設立し、同名の文芸誌「文藝春秋」を創刊しました。これにより、日本の文壇に大きな影響を与えました。また、芥川龍之介賞と直木三十五賞の創設にも尽力し、日本文学の発展に貢献しています。

彼の作品は今もなお、多くの人々に読まれ、影響を与え続けています。

『奉行と人相学』のひとこと感想

あおなみ

外見と内面の関係、正義と慈悲のバランス。面白いテーマの作品でしたね!
自分が大岡越前守と同じ立場だったら、チャンス与えれてたかな~(^_^;)


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